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パナソニック エナジーのMVW(ミッション・ビジョン・ウィル)が誕生するまでを紐解いてみた<前編>

皆さん、こんにちは!パナソニック エナジー「inside story」編集部です。
私たちは、豊かなくらしと環境が矛盾なく調和する持続可能な社会の発展に向けて果たすべき「Mission」、将来の「Vision」、そしてそれを実現させるために不可欠な「Will」を定めています。
今回は、MVWがどのように誕生し、そこに込められた想いを皆さんに知っていただきたい、ということから私たちの社長・只信さんに、熱く語ってもらいました!
前編・後編にわけてご紹介しますが、最後まで読んでいただけたら嬉しいです。



只信 一生(ただのぶ かずお)
パナソニック エナジー(株)代表取締役社長 執行役員 CEO
1992年松下電器産業(株)(現:パナソニック ホールディングス(株))に入社。専攻は化学系出身で、素材開発からデバイス商品設計を担当。20代の頃は技術者として、車両向けのエアバック、ABSシステム、照明機器向けの部品デバイスを日米欧のメーカーと共同で開発。2000年の前半はICT業界向け基幹部品の開発責任者、海外工場責任者を歴任。2017年には、乾電池やマイクロ電池などの事業責任者、本社・経営企画部長、民生分野向けリチウムイオン電池の事業責任者を務めた後、2022年4月から電池事業を手がけるパナソニック エナジー(株)社長に就任。

「パナソニック エナジー」という会社の存在意義をとことん考えた

―ミッション・ビジョン・ウィル(MVW)にたどり着いた背景を教えてください。

MVWにたどり着く前に、そもそも「会社は何のために存在しているのか」という原点について、深く理解することが大事だと思っています。松下電器(現パナソニック ホールディングス)の創業者・松下幸之助は、世の中全体が貧しく生活が不便だった時代に、手の届く電気製品を人々に届けることで豊かなくらしを後押ししてきました。世の中の課題に対して全員の知恵を集めて還元していくことが企業の使命とし、会社は「社会の公器」であるという思想がパナソニックに脈々と受け継がれています。私自身も技術者として自分が生み出したもので、くらしを便利に豊かにしたいという思いが強く、松下電器に入社しました。

世の中が大きく変わり、電気⾃動⾞が当たり前のように街中を走るなど、今後も電気を必要とする電動化がまさに進んでいます。また顧客データから医療情報まで、あらゆる情報がデータ化されるようになり、⽬には⾒えないデータを守ることも不可⽋になっています。私たちは電気エネルギーを通して、人々が安全に快適に豊かに⽣きることの根本を支えることが求められていて、これからの時代に「パナソニック エナジー」という会社の存在意義はとてつもなく大きいと思い、それがMVW策定の原動力となっています。

私たちが向き合うべきもの、背負うべきものを言語化していく

―会社の存在意義から、どのようなプロセスでMVWに落とし込んでいったのでしょうか?

ミッション・ビジョンは会社の使命です。社長の言葉だけで決めてしまったら、単なるスローガンになってしまいますし、心の中に留めておく程度のものでもないと思いました。私たちが向き合うべき、背負うべきものを明確にして、それに対して努力し続けなければならない姿をミッションとして定義したいという思いから、2021年1月から3月まで毎週2時間、経営メンバーを集めて議論をスタートさせました。

MVWについて議論する経営メンバー

当社は自動車のEV化に代表される車載電池などのモビリティ分野や生成AIを支えるデータセンター向け蓄電池、医療を含む社会インフラ分野などの法人のお客様向けBtoB事業と、一般消費者の皆さんにもなじみのあるエボルタ NEOやeneloopをはじめとしたBtoC事業、先行技術の開発部門などもあります。議論の当初は、それぞれの職責から発想していたのでバラバラ感が否めませんでした。しかし、私は社長や事業部長など関係なくフラットに忖度なく対話して言語化していくことを大事にしたいと思い、社外パートナーに参画してもらって議論を深めていきました。そもそも人間の根源的にある幸せになりたいとか、豊かになりたいとは何か、世の中をどうしていきたいのかなど、経営メンバーの胸にある熱い想いを言葉にしていくプロセスを大切にしていました。

何度も議論を重ねる中で、「幸せの追求」と「持続可能な環境」という2つの軸にたどり着きました。現状の産業活動では、人々のくらしの豊かさや幸せのために商品を提供している一方で、資源の枯渇問題や大量のCO₂を排出するなど、喫緊の環境問題で人々が住みづらい状況になっています。一部の人たちだけが幸せになるのではなく、全人類が幸せになることを追求していきたい、という強い想いが込み上がってきました。そして、今を⽣きる⼈々が幸せを⼿にすることで、未来に⽣きる⼈々の幸せを削り取っているという⽭盾から解放し、人類としての幸福追求と環境保全を調和させることこそ、イノベーションの本質ではないかと考えました。

だからこそ「幸せの追求と持続可能な環境が⽭盾なく調和した社会の実現。」をミッションとしました。これは私たちだけで実現することはできないため、一緒にミッションの実現を目指してもらえる仲間や周囲を巻き込んでいけるような大きなうねり、エネルギーのかたまりに自らなっていきたい、という想いから、私たちのなりたい姿を「未来を変えるエナジーになる。」とし、ビジョンにしました。

世の中に率先して⾏動する覚悟を示したい

―一般的にはミッション・ビジョンときたらバリューが続きそうですが、ウィル(Will)を定めたのはなぜでしょうか?

私たちのミッションの実現には、⼈々の幸せを常に追求し続けながら、未来の環境もしっかりと守り続け、この双⽅を⽭盾なく調和させるために、とてつもない挑戦と努⼒が必要になります。私たちがやり遂げるだけでは足りないし、私たちがそれらを達成したところで未来が救われるわけではありません。私たち自身が先頭に立ち、血眼になって走り続ける覚悟が必要です。社会に対して正しいことをやり続ければ、その姿に賛同して頂ける仲間が必ず集まり、世の中を変えていけると信じています。

初代社長だからこそ、「会社とは何か」を定義することが非常に重要であるという思いと、一緒にミッションを実現していく社員たちの心にも火をつけ、心をかき立てられるような覚悟を社内外に示したいと考え、「やるしかない」という潔くて強い言葉を意志(Our Will)に使いました。何のためにやるのかというと、いま起きている課題は人類の生存そのものをかけた状態であることから、「⼈類として、やるしかない。」としました。

あえて意志を掲げることで、逃げたくなるような状況をつくり出してしまうかもしれません。しかし、どんなにしんどくて大変だとしても、後から振り返ったときに格好良いと思える、仕事に挑戦し続ける集団でありたい、という経営メンバーの強い思いと覚悟でもありました。



最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
後編では、MVW(ミッション・ビジョン・ウィル)を浸透・実践していくための取り組みを紹介します。


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